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ソリューションガイド2026 年 8 月 20 日

AI 電話は同時に何件まで対応できる?話中・ビジー・同時通話数の考え方と回線数の試算方法【2026 年版】

Pathorsチーム

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AI 電話は同時に何件まで対応できる?話中・ビジー・同時通話数の考え方と回線数の試算方法【2026 年版】

AI 電話は同時に何件まで対応できるのか。結論から言えば、AI 自体が「捌ききれない」ことはほとんどありません。ひとつの AI が数十件、数百件の通話を同時に処理できます。本当の上限は電話回線の本数です。1 回線は同時に 1 通話しか扱えず、2 件目の着信は話中になります。中小企業の多くは月 10,000 分以内に収まり、1〜2 回線で十分です。見るべきは月間の総量ではなく、いちばん混む 1 時間に何件が重なるかです。

電話 AI を検討する経営者の多くは、ベンダーに「同時に何件受けられますか」と尋ねます。返ってくるのは 50 件、100 件、無制限といった大きな数字ですが、それはたいていプラットフォームの技術上限で、自社の電話が話中になるかどうかとはほぼ関係がありません。この記事では「話中」「ビジー(全回線話中)」「同時通話数(同時接続数)」の違いを整理し、Pathors が社内で使っている試算モデルを使って、月間通話分数から必要回線数を逆算する方法を説明します。

先に結論:ボトルネックは AI ではなく「回線数」

有人対応の上限は直感的です。3 人いれば同時に 3 通話まで、4 件目は待つか話中になります。人がボトルネックです。

電話 AI は仕組みが違います。AI は「ひとりの人」ではなく、プラットフォームが着信ごとに独立した会話を立ち上げるため、数十件の同時処理は珍しいことではありません。つまり「AI は同時に何件受けられるか」という問いは、そもそも相手を間違えています。

本当の制約は電話側にあります。回線は 1 本ごとに、それが固定電話でも SIP トランクの 1 チャネルでもクラウド番号でも、同時に 1 通話しか運べません。 2 回線なら 3 件目は話中になり、AI がどれだけ優秀でも受けられません。

検討時は問い方を変えましょう。

  • 「AI は何件受けられるか」ではなく「この番号に回線は何本ついているか」
  • 「月に何件か」ではなく「いちばん混む 1 時間、いちばん混む 15 分に何件が重なるか」
  • 多くの中小企業の答えは 1〜2 回線で足ります。月間で見れば件数は多くても、同じ瞬間に集中するわけではないからです。

    話中はどう起きるか:有人時代と AI 時代

    有人時代の話中は、人が受けきれないことで起きていました。 主装置に 4 回線あっても受ける人が 1 人なら、残り 3 件は鳴りっぱなしで留守電に落ちます。海外の統計では、中小企業は着信の平均 62% を取りこぼしており(出典)、留守電につながった人の 86% はメッセージを残さずに切り、85% はかけ直さないとされています(出典)。原因は人手であって回線ではありません。

    AI 時代の話中は、回線が足りないことで起きます。 人はボトルネックではなくなり、回線に入りさえすれば AI がすべて応答します。裏を返せば、回線が埋まった瞬間にお客様が聞くのは話中音で、AI の賢さは関係ありません。

    混同されがちな 3 つの言葉を分けておきます。

    用語意味お客様が聞くもの
    話中ひとつの番号・回線が通話中「ツー、ツー」という話中音
    ビジー(全回線話中)使える回線がすべて埋まり、新しい着信が入れない話中音、または通信事業者のガイダンス
    待ち行列(キュー)回線には入れたが応対者が空いておらず、保留音を流す保留音、「ただいま混み合っております」

    1 回線しかなければ「話中」と「ビジー」は同じことです。複数回線になると、全部が埋まって初めてビジーになります。そして AI 時代の待ち行列は、通常は有人へ転送する区間でしか発生しません。AI 自体は即座に応答するからです。

    同時通話数(同時接続数)は何を数えているのか

    同時通話数(コンカレンシー)の定義は単純で、同じ瞬間に進行中の通話の数です。1 回線は同時に 1 通話なので、「回線が何本必要か」は「ピーク時に何件が重なるか」と同じ問いになります。

    「1 時間に何件」を「同時に何件」に換算するために、通信の世界では アーラン(Erlang) という単位を使います。通話件数 × 平均通話時間です。たとえば 1 時間に 200 件、1 件平均 3 分なら 600 通話分、60 分で割って 10 アーラン(出典)。つまりその 1 時間の間、平均してどの瞬間も 10 件が通話中で、着信が偶然重なる分を考える前に最低でも 10 回線が必要という意味です。

    従来のコールセンターはこの先で Erlang C を使い、「80% の着信を 20 秒以内に応答する」といったサービスレベルに必要な席数を計算します。AI では応答が即時なので、関心は回線に移ります。N 回線で一定の負荷を受けたとき、話中になる確率はどれくらいか。それを計算するのが Erlang B です。

    ベンダーの「同時 100 件」に戻ると、それがプラットフォームの数字なら AI 側の処理能力の話です。聞くべきは「この番号に回線が何本つくのか、プランで同時何件まで許されるのか」です。

    月間分数から回線数を逆算する:Pathors の試算モデル

    理論上、1 回線は月に 24 × 60 × 30 = 43,200 分話せます。ただし通話は特定の時間帯に集中するため、実際にそこまで使えることはありません。

    Pathors が社内で使っている前提は次のとおりです。

  • 1 日の通話は 14:00 前後に集中し(標準偏差およそ 3 時間)、ピークの 1 時間が 1 日の約 13.2% を占める
  • 1 週間でいちばん混む平日が、週全体の約 20% を占める
  • 合わせると、ピーク 1 時間の通話分数 ≈ 月間分数 ÷ 165。さらに 60 で割ると、ピーク時の同時通話数(アーラン)になる
  • 計算してみると、月 10,000 分ならピーク 1 時間で約 61 分、およそ 1 アーラン。いちばん混む 1 時間に 1 回線がほぼ満杯という状態です。これが「月 10,000 分あたり約 1 回線」という目安の根拠で、回線稼働率は 10,000 ÷ 43,200 ≈ 23%、コールセンターの一般的な水準に近い数字です。

    月間分数ピーク 1 時間の通話分数(÷ 165)ピーク時の同時通話数(÷ 60)推奨回線数
    100約 0.60.011
    1,000約 60.11
    3,000約 180.31
    10,000約 611.01〜2
    30,000約 1823.03〜4

    10,000 分でちょうど 1 回線ではなく 1〜2 回線を勧めるのはなぜか。1 アーランの負荷を 1 回線に詰め込むと、Erlang B の式ではピーク 1 時間の着信の約半分が話中に当たります。2 回線にすると約 20%、3 回線で約 6% まで下がります。話中の許容度が低い業種(クリニック、宿泊、緊急対応の多いサービス業)は 1 回線多めに見ておくとよいでしょう。

    これはあくまで試算です。 自社の通話はもっと集中しているかもしれませんし、もっと平坦かもしれません。実数を掴む方法は 2 つ。主装置や通信事業者の請求書で月間通話分数を確認するか、まず 1 回線で 2 週間運用し、通話ログからピークと話中の発生を読み取ることです。

    ピークの型が 3 つあり、計算方法が違う

    上のモデルは「山はあるがなだらか」な通話を前提にしています。実務では少なくとも 3 つの型があり、計算が変わります。

    均等型:一般的なカスタマーサポート、法人からの問い合わせ

    1 日を通してぽつぽつと着信があり、午後にやや増える型。÷ 165 のモデルをそのまま使えます。

    集中型:開院直後、台風の夜、セール当日

    8:30 に予約受付を開けるクリニック、台風の夜の宿泊施設、セール当日の EC。通話が 30〜60 分の窓に押し寄せ、ピーク 1 時間の比率は 13.2% をはるかに超えます。月平均では必ず過小評価になるので、「いちばん混む 15 分」で計算します。

  • いちばん混む 15 分の通話分数 ÷ 15 = 必要回線数
  • 例:受付開始後 15 分で 20 件、1 件約 2 分 = 40 通話分 ÷ 15 ≈ 2.7 → 3 回線
  • イベント型:SMS や配信のあとに殺到する

    自社が送る SMS、LINE 配信、アウトバウンドの通知は、数分以内に折り返しを呼び込みます。利点はきっかけを自分で握っていることです。配信を分割する、折り返し先を別番号にする、既存のピークを避ける、といった手で山を平らにできます。もうひとつ、発信も回線を使うことを忘れずに。同じ回線群で同時に発信と着信をするなら、両方を合算して数えます。

    回線が足りないときの体験設計

    どれだけ正確に見積もっても、超える瞬間はあります。そのときお客様が何を聞くかは、通信事業者のデフォルトの話中音ではなく、こちらが設計したものであるべきです。よくある 4 つの方法を挙げます。

  • 有人へのあふれ転送:N+1 件目をスタッフの携帯や内線へ回す。小さなチーム向きですが、有人側も埋まる前提で。引き継ぎの設計はAI から有人への引き継ぎ設計を参考にしてください。
  • 保留音で待ってもらう:回線には入れるがプランの同時接続数に達したため待ってもらう。回線は多いが AI のプラン上限が低い構成に向きます。
  • 折り返しの約束:番号を記録して「3 分以内にお電話します」と伝え、回線が空いたら AI が発信する。AI 時代にもっとも価値のある方法です。AI の折り返しは人手を使わず、お客様もかけ直す必要がありません。
  • SMS でつなぐ:話中時に予約リンクや LINE 公式アカウントを載せた SMS を自動送信し、要望を先に受け止める。
  • 最悪の設計は「話中 → 留守電」です。先に挙げた海外統計では留守電につながった人の 86% がメッセージを残さず、85% がかけ直しません。電話をそのまま捨てているのと同じです。

    ベンダーに確認すべき 5 つの質問

    見積もりを受け取ったら、同時接続についてこの 5 点は必ず確認してください。

    1. 同時接続の上限は「プラン上限」か「技術上限」か。 技術上限はプラットフォーム全体が運べる数字で、自社には関係ありません。プラン上限は契約に書かれた数字(例:基本プランは同時 2 件)で、超えると拒否されるか追加料金になります。知りたいのは後者です。

    2. 回線追加の課金方法は。 回線ごとの月額か、同時接続数の段階制か、同時接続無制限の分課金か。ピークの型によって差が大きいので、料金ガイドと合わせて確認するとよいでしょう。

    3. ピーク時の拡張は自動か、事前設定が必要か。 セール当日に急に同時 5 件必要になったとき、自動で広がるのか、事前申請が要るのか、プラン変更が必要なのか。追加費用はいくらか。

    4. 同一番号で複数回線にするのに通信事業者側の対応が要るか。 固定電話番号を複数回線にするには、通常は通信事業者側で代表組み(ハントグループ)の設定や SIP トランクのチャネル追加が必要で、プラットフォームの操作だけでは増えません。詳細は電話 AI と PBX 連携ガイドを参照してください。

    5. あふれ時の戦略はカスタマイズできるか。 有人転送、折り返し、SMS を自分で設定でき、時間帯ごとに変えられるか。

    稼働後の検証方法

    稼働後は感覚ではなく、3 つの数字を見ます。

  • いちばん混む 15 分の同時通話数:日平均ではなく、本当のピーク
  • 話中の回数:回線が空いておらず入れなかった着信の数
  • あふれの回数:有人転送、折り返し、SMS が発動した数
  • 最初の 1 週間は何も変えずに観察します。2 週間後に調整。ピークが回線数の半分を下回り続けるなら増やす必要はなく、話中が毎日出るなら 1 回線足します。以後は月に一度見直し、セールや繁忙期の前に先に増やし、終わったら戻します。

    「AI 電話は同時に何件まで」の正しい答えは、AI 側はほぼ無制限で、上限は回線であり、回線の本数は総量ではなくピークで決まる、ということです。まず「月間分数 ÷ 165 ÷ 60」でひとつ数字を出し、集中型の通話ならいちばん混む 15 分で見直し、あふれたときの体験を設計しておく。多くの企業は 1〜2 回線から始めれば十分で、2 週間後にデータで調整できます。

    あわせて読みたい:

  • 電話 AI とは?2026 年完全ガイド
  • 電話 AI と PBX 連携ガイド
  • AI 音声カスタマーサポートの料金ガイド
  • よくある質問

    AI 電話は同時に何件まで対応できますか?

    AI 自体にはほぼ上限がありません。プラットフォームが着信ごとに独立した会話を開くため、数十件の同時処理も問題ありません。本当の上限は回線数で、1 回線は同時に 1 通話です。つまり答えは AI の能力ではなく、番号に何本の回線がついているか、プランで同時何件まで許されているかで決まります。

    回線は何本契約すればいいですか?

    まず月間通話分数を把握し、165 で割るとピーク 1 時間の通話分数、さらに 60 で割るとピーク時の同時通話数になります。月 10,000 分以内なら通常 1〜2 回線、30,000 分前後なら 3〜4 回線が目安です。話中が許されにくい業種は 1 回線多めに。あくまで試算なので、自社の通話の分布と照らし合わせてください。

    話中のとき、お客様には何が聞こえますか?

    設定次第です。デフォルトは通信事業者の話中音で、これがいちばん悪い結果です。有人への転送、保留音、AI が番号を記録して折り返す、SMS で自動的につなぐ、といった設定をお勧めします。折り返しは人手を使わず、お客様もかけ直さなくて済むので、AI 時代にもっとも費用対効果の高い方法です。

    同時接続数と通話分数、どちらが重要ですか?

    役割が違います。分数は総量で費用を決め、同時接続数はピークで話中になるかどうかを決めます。中小企業の多くは分数は少なくてもピークが集中しており、先に引っかかるのは同時接続数のほうです。検討時はまずピークの同時通話数を計算し、そのうえで分課金を比べてください。単価だけの比較は避けましょう。

    セール当日に急に着信が殺到したらどうすればいいですか?

    事前にベンダーへ、同時接続を一時的に拡張できるか、追加費用はいくらかを確認し、セール前に回線を先に増やしておきます。当日は月平均ではなく「いちばん混む 15 分」で計算します。折り返しと SMS を組み合わせて、入れなかった要望を先に受け止め、セールが終わったら回線数を戻します。

    1 回線で月に何分話せますか?

    理論値は 43,200 分(24 時間埋まり続けた場合)ですが、通話は午後と平日に集中するため、実際に捌けるのは月およそ 10,000 分、回線稼働率は約 23% で、コールセンターの一般的な水準に近い値です。これは Pathors の経験に基づく目安で、通話が集中するほど 1 回線で捌ける分数は少なくなります。

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